雪はすべてのものを白く覆い、境界や輪郭を曖昧にしながら静かに休息をもたらしてくれます。色彩を削ぎ落とされた風景は、より豊かな情景へと見立てることができます。
私の住んだ岐阜県の山奥にある加子母というところは、決して便利ではない土地ですが、都会にはない自由があります。そこには、かしも明治座という古い木造の芝居小屋があり、歌舞伎が息づいています。伝統文化である歌舞伎には独特の「間」が基本にあります。普段の生活にはないこの「間」に興味をひかれ、関わるようになり、今では歌舞伎が生活の一部となりました。
この「間」は単なる停止ではなく、感情や緊張を内包する"余白"として存在して、観客の意識を深く引き込む力を持ちます。
歌舞伎の舞台では「黒」は存在しない(見えない)という約束事があります。黒子が舞台上を動いていても芝居には影響しないのもその一つです。この「黒」は雪の「白」が風景を覆い隠すのと同じように、背後の存在を内包した"見えないものの表現"といえます。
それは欠落ではなく、想像を喚起するための「間(余白)」として、観る者に自由な解釈を委ねる装置となります。
白い森 2026 和紙、墨、白亜、膠、変形パネル W2020mm×H540mm×D70mm
白い森 2026 和紙、墨、白亜、膠、変形パネル W2020mm×H540mm×D70mm
白い森 2026 和紙、墨、白亜、膠、変形パネル W4600mm×H1170mm×D150mm
Driftwood 2025 流木、白亜、和紙、墨 W550mm×H550mm×D170mm
黒漫漫Ⅰ(こくまんまん1) 2026 和紙、墨 屏風(六曲一双) W3420mm×H1680mm
白的的Ⅱ(びゃくてきてき2) 2026 和紙、墨 屏風(六曲一双) W3420mm×H1680mm
白的的Ⅰ(びゃくてきてき1) 2026 和紙、墨 屏風(六曲一双) W3420mm×H1680mm