白と黒のあいだにある「間」
雪はすべてのものを白く覆い、境界や輪郭を曖昧にする。色彩を削ぎ落とされた風景は、目に見えるものを減らすことで、かえってその背後にある情景や記憶、想像を呼び起こしていく。 歌舞伎における「間」は、単なる停止や空白ではない。そこには感情や緊張が凝縮され、何も起きていないように見える時間そのものが、観る者の意識を舞台へと引き込んでいく。 また、歌舞伎の舞台には「黒は存在しない」という約束事がある。黒衣が舞台上を動いていても、観客はそれを見えないものとして受け入れる。この「見えない黒」は、雪が風景を覆い隠す「白」と重なる。 白と黒は、何かを消し去るための色ではなく、その背後にある「見えないもの」を内包する色なのではないだろうか。 見えないもの、語られないもの、そこにありながら認識されないもの。 私は「間」を、そうしたものを受け止める余白として捉えている。 輪郭を曖昧にする雪の白と、存在を消す歌舞伎の黒。そのあいだに生まれる余白は、欠落ではなく、観る者の想像を呼び込むための空間である。 作品の中に残された「間」に、何を見るのか。
Masafumi Hata Exhibition October 5-10, 2026 GALLERY KOBAYASHI
白い森 2026 和紙、墨、白亜、膠、変形パネル W4600mm×H1170mm×D150mm
白い森 2026 和紙、墨、白亜、膠、変形パネル W2020mm×H540mm×D70mm
白い森 2026 和紙、墨、白亜、膠、変形パネル W2020mm×H540mm×D70mm
Driftwood 2025 流木、白亜、和紙、墨 W550mm×H550mm×D170mm
黒漫漫Ⅰ(こくまんまん1) 2026 和紙、墨 屏風(六曲一双) W3420mm×H1680mm
白的的Ⅱ(びゃくてきてき2) 2026 和紙、墨 屏風(六曲一双) W3420mm×H1680mm
白的的Ⅰ(びゃくてきてき1) 2026 和紙、墨 屏風(六曲一双) W3420mm×H1680mm